Googleスプレッドシートの進捗データを自動でSlackに共有する方法

2025年9月1日2025年9月8日

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はじめに

日々のプロジェクト管理において、「誰がいつ進捗を更新したのか」をチーム全員で素早く把握することは非常に重要です。しかし、わざわざスプレッドシートを開いて確認するのは手間がかかります。そこで便利なのが、Googleスプレッドシートの更新を自動でSlackに通知する仕組みです。本記事では、Google Apps Script（GAS）を使って、スプレッドシートの進捗データをSlackに自動共有する方法を、初心者でも迷わず導入できるレベルで丁寧に解説します。

こんなシーンでの活用に適しています

この自動化は、以下のような場面で特に役立ちます。

プロジェクトの進捗をリアルタイムでチームに共有したいとき
スプレッドシートの更新を見逃さずにキャッチしたいとき
リモートワークや在宅勤務で、Slackを主な連絡手段としているチーム
定例ミーティングの前に「誰がどのタスクを進めているか」を瞬時に把握したいとき

Google Apps Scriptで自動化する

メリット	更新確認の手間がゼロ：Slack通知が来るので、わざわざシートを開かなくても進捗を把握できる情報の見える化：誰が何を更新したかが自動で記録され、透明性が高まる即時対応が可能：タスクの遅延や重要な変更をいち早く検知できる無料で導入可能：GoogleスプレッドシートとSlackの基本機能だけで実現できる
デメリット	通知が多すぎると逆に煩雑になる（全セルを対象にすると更新のたびに通知が飛ぶため、対象列やシートを絞る工夫が必要）初期設定にやや手間がかかる（Webhook作成やGAS設定など、一度慣れる必要がある）運用担当者がいないと放置されやすい（管理者が退職したり異動した場合、トリガーのメンテナンスが滞る可能性がある）
難易度・面倒さ	難易度：★★☆☆☆（初心者でも手順を見れば導入可能）面倒さ：中程度（最初の設定だけ丁寧に行えば、あとは放置でOK）「コードを自分で書く」必要はなく、記事内のスクリプトをコピーしてWebhook URLを差し替えるだけなので、プログラミング経験がなくても十分対応できます。
特徴	Google純正のGASを使うため、追加の外部サービスは不要 Slackへの通知はIncoming Webhookを利用し、安定して動作対象シートや列を自由にカスタマイズ可能（例：進捗率やステータス変更時のみ通知）無料で始められるが、必要に応じて外部の自動化サービスとも組み合わせやすい
価格	完全無料で利用可能 Googleスプレッドシート：無料（Googleアカウントがあれば利用可能） Slack：無料プランでもIncoming Webhookを利用可能追加費用は一切かからず、導入コストゼロで始められます。

用意するもの

Google アカウント（Gmail が使える状態）
Slack アカウント（通知を送りたいワークスペースに参加済み）
進捗管理用の Google スプレッドシート（例：列に「タスク名 / 担当者 / 進捗率 / ステータス / 最終更新日」など）

設定手順

🔹Step 1：Slack で Webhook URL を作成する

ブラウザで https://api.slack.com/apps を開く。

右上の [Create New App]（新しいアプリを作成） をクリック。

[From scratch] を選び、アプリ名を入力（例：Sheets Progress Notifier）。

対象ワークスペースを選んで [Create App]。

左メニューの Features > Incoming Webhooks を開く。

上部のスイッチ [Activate Incoming Webhooks] を On にする。

ページ下部の [Add New Webhook to Workspace] をクリック。

通知を送りたい チャンネル（例：#project-progress）を選んで [Allow]（許可）。

表示された Webhook URL の [Copy]（コピー） を押して、メモ帳などに貼り付けて保存。

Webhook URL は例：https://hooks.slack.com/services/XXXX/YYYY/ZZZZ のような長い文字列です。外部に漏らさないでください。

🔹Step 2：スプレッドシートを用意する

Google スプレッドシートを開く（既にある場合はそれを開く）。

1行目（ヘッダー）を以下のようにしておくと後で見やすいです。

A列：タスク名
B列：担当者
C列：進捗率（%）
D列：ステータス（未着手 / 進行中 / 完了など）
E列：最終更新日（自動入力にする例を後で記載）

🔹Step 3：GAS（スクリプト）を設定する

スプレッドシートの上部メニューから [拡張機能] > [Apps Script] をクリック。
新しいタブでエディタが開きます。左上の「無題のプロジェクト」をクリックし、
プロジェクト名を Progress to Slack などに変更。
画面中央の Code.gs に、下記の「かんたん版スクリプト」 を丸ごと貼り付けます。
左上の フロッピーディスクアイコン（保存） をクリック。

//かんたん版スクリプト（まずは確実に動かす）
/**
 * 編集があったときに Slack へ通知する（インストール型トリガー用）
 * トリガーは後の手順で設定します。
 */
function sendSlackNotification(e) {
  var webhookUrl = "https://hooks.slack.com/services/XXXX/YYYY/ZZZZ"; // ←Step1 で作成した URL に置き換え
  if (!e) {
    // e（イベント引数）がないときは何もしない
    return;
  }

  var sheet = e.source.getActiveSheet();
  var range = e.range; // 変更された範囲（セル）
  var newValue = e.value; // 新しい値（単一セルのとき）
  var oldValue = e.oldValue; // 変更前の値（単一セルのときのみ取得できることがあります）

  // Slack に送るメッセージの本文を作成
  var ss = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
  var sheetName = sheet.getName();
  var a1 = range.getA1Notation();
  var ssUrl = ss.getUrl();

  var messageLines = [];
  messageLines.push("📣 スプレッドシートの進捗が更新されました");
  messageLines.push("シート: " + sheetName);
  messageLines.push("セル: " + a1);
  if (typeof oldValue !== 'undefined') {
    messageLines.push("変更: " + (oldValue === undefined ? "(不明)" : oldValue) + " → " + (newValue === undefined ? "(不明)" : newValue));
  } else {
    messageLines.push("新しい値: " + (newValue === undefined ? "(複数セルまたは不明)" : newValue));
  }
  messageLines.push("📄 シートを開く: " + ssUrl);

  var payload = {
    text: messageLines.join("\n")
  };

  var options = {
    method: "post",
    contentType: "application/json",
    payload: JSON.stringify(payload),
    muteHttpExceptions: true
  };

  UrlFetchApp.fetch(webhookUrl, options);
}

/**
 * 初回の権限付与＆動作確認用のテスト送信
 */
function sendTestToSlack() {
  var webhookUrl = "https://hooks.slack.com/services/XXXX/YYYY/ZZZZ"; // ←同じ URL を設定
  var payload = { text: "✅ テスト送信：GAS から Slack へメッセージを送れました" };
  var options = { method: "post", contentType: "application/json", payload: JSON.stringify(payload) };
  UrlFetchApp.fetch(webhookUrl, options);
}

ポイント

上のコード中の https://hooks.slack.com/… を あなたの Webhook URL に差し替えてください。
sendTestToSlack() はテスト送信用。まずこれを実行して権限を許可すると、以後の自動通知が安定します。

🔹Step 4：権限を許可してテストする

エディタ上部の 関数プルダウン（▼）から sendTestToSlack を選ぶ。
右向き三角の [実行] ボタンをクリック。
初回は「このアプリは確認されていません」などの画面が出ることがあります。
- [詳細] をクリック → [（安全ではないページ）に移動] → 使用する Google アカウントを選択。
- 権限一覧が出たら [許可] を押す。
Slack の選んだチャンネルに「✅ テスト送信…」が届けば OK！

ここで届かない場合：Webhook URL のコピーミスが多いです。全て含めて正しく貼り付けられているか確認してください。

こちらの処理は初回実行時のみ必要です。

🔹Step 5：自動実行の「トリガー」を設定する

Apps Script エディタの左側メニューから [トリガー]（時計アイコン） をクリック。
右下の [トリガーを追加] をクリック。
下記のように設定します：
- 実行するデプロイ：Head
- 実行する関数を選択：sendSlackNotification
- イベントのソースを選択：スプレッドシート（または From spreadsheet）
- イベントの種類を選択：編集時（On edit）
- エラー通知設定：自分のメールアドレスに通知（任意）
[保存] をクリック。

これで、スプレッドシートのセルを編集するたびに Slack へ通知が飛ぶようになります。

🔹Step6：動作確認

スプレッドシートに戻り、任意のセルを編集して Enter。
数秒〜十数秒以内に、Slack のチャンネルへ通知が届けば成功です。

よくある質問

通知が多すぎて困ります。調整できますか？: はい。対象となるシートや列を指定することで、必要な更新だけを通知するように調整できます。
誰が更新したかはSlackで分かりますか？: GASでは直接取得できませんが、Googleスプレッドシートの「変更履歴」から確認可能です。運用ルールとして「更新者の名前を入力する列」を作るとより便利です。
初心者でも本当にできますか？: はい。記事内で紹介しているコードをそのまま貼り付ければ動作します。唯一の注意点は「Webhook URLを正しく設定する」ことだけです。

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まとめ

Googleスプレッドシートの更新をSlackに自動通知する仕組みは、無料で導入できて効果が大きい業務効率化の第一歩です。最初に一度設定してしまえば、以後は放置でOK。チーム全員がリアルタイムで進捗を共有できるようになり、会議の準備や進捗確認の時間を大幅に削減できます。

「毎日スプレッドシートを開いて確認するのが面倒」「更新の見落としを防ぎたい」という方は、ぜひ本記事を参考に導入してみてください。

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