RPAは、単純作業を自動化することで業務効率と生産性の両方を同時に高めるツールです。RPAにはさまざまなツールがあるため、自社に合ったものを選ぶ必要があります。まずは、導入目的と自動化したい業務などを選定しましょう。
本記事では、RPAの選び方と導入の手順、選定のポイントなどについて詳しく解説します。
こんな方におすすめ
・RPAツールを導入したいが、高いし、社内にエンジニアがいなくて困ってる
・採用が難航しており、ルーティン業務を人が行っている
・どのRPAツールを入れればいいかわからない
・とりあえず、自動化をしたい
・オンプレの社内システムを使っている
RPAを選ぶ際の手順
RPAは、ツールによって機能が異なります。また、導入費用も自社で開発するのか、外部委託するのかによっても大きく異なるため、以下の手順でRPAを選ぶ必要があります。
- 予算を決める
- 社内のリテラシーを確認する
- 自動化したい業務を選定する
- RPAの種類を決める
- 導入支援会社を選ぶ
- トライアルを行う
- 本格導入する
それぞれの段階ごとに、詳しく解説します。
予算を決める
RPAを選ぶ際は、最初に予算を決めることが重要です。RPAの導入費用は、導入方法や開発運用の方式などで異なります。
例えば、自社でRPAの開発運用とスキル習得を行う場合、5,000円から15万円程度の費用で済みます。これは、自社の従業員がRPAの開発や運用ができるポテンシャルを持っており、スキルを習得するにしても長時間かからないケースが該当します。
一方、社外のサポートや研修を受けながら自社でRPAを開発運用する場合、10万円から20万円程度はかかるでしょう。
すべての開発運用を外部委託する場合、費用は100万円から200万円程度となります。これらの他に、導入費用としてRPAの初期費用やハードウェア、ツールのライセンス費用、保守費用などを合わせて30~70万円程度はかかります。
社内のリテラシーを確認する
社内にRPAを使いこなせる従業員がいるかどうかの確認が必要です。使いこなせる従業員がいない場合は、研修を受ければ使えるようになる可能性があるかどうかを考えましょう。
まず、社内の従業員のスキルセットを評価します。例えば、エクセルの関数やマクロを使った経験がある人や、プログラミング言語を扱ったことがある人などは、研修を受ければRPAを使えるようになる可能性があります。
自動化したい業務を選定する
自動化したい業務を選定する際は、RPAで自動化できる作業とできない作業を理解する必要があります。
RPAは人事評価やメール配信、問い合わせ対応、入金消込、経費精算集約など単純作業に対応できます。一方で、イレギュラー対応や複雑な業務などには不向きです。
自動化できる業務において、作業量、人的ミスの発生頻度などを把握しましょう。そのうえで、自動化することによって業務効率が格段に上がる作業を抽出します。RPAの導入には費用がかかるため、費用対効果が高い業務に限定することが重要です。
RPAの種類を決める
RPAは、クラウド型とオンプレミス型に分類できます。オンプレミス型は、サーバー型とデスクトップ型に細分化されています。それぞれの特徴を理解して、自社に適した種類のRPAを導入しましょう。
クラウド型
クラウド型のRPAツールは、インターネットを通じて事業者のRPAにアクセスし、Webブラウザ上の作業を自動化します。
オンプレミス型のRPAと比較して導入コストを抑えることができます。また、クラウド上で提供されるため、ソフトウェアのインストールやセットアップの必要もありません。そのため、短期間で利用を開始できるうえに、定期的なメンテナンスも不要となります。
対象はWebブラウザ上での作業のため、Webサイトからのデータ収集や処理、オンラインフォームの入力、メールの送受信など、インターネットを介した作業に限定されます。
サーバー型
サーバー型のRPAは、自社が所有するサーバーにソフトウェアをインストールして利用するRPAです。企業の膨大な量のデータを処理できることに加え、複数の作業を同時に自動化できます。作業にかかる時間もクラウド型と比べて短いため、迅速に複数の作業を自動化したい場合に適しています。ただし、クラウド型と比べて導入費用が高く、自社用にカスタマイズも必要です。
デスクトップ型
デスクトップ型のRPAは、会社のパソコンにソフトウェアをインストールして利用するものです。インストールしたパソコン上でのみ作動します。サーバー型と比べて導入コストが低いため、自動化したい作業が限定的な場合に適しています。
まずはデスクトップ型を導入してみて、業務効率化や効果を確認した後、必要に応じてサーバー型RPAへの移行を検討するのも1つの方法です。
導入支援会社を選ぶ
RPAは、自社に適した形で導入しなければ、その恩恵を最大限に受けることはできません。そのため、通常は導入支援会社のサポートを受けます。導入支援会社を選ぶ際は、RPA導入において豊富な専門知識と経験を持っているかどうかを確認しましょう。
また、企業ごとの業務環境やニーズは異なるため、導入支援会社がカスタマイズされたソリューションを提供できるかどうかが重要です。業務プロセスの理解や要件定義から始め、最適なRPAシステムを構築することが求められます。
RPA導入後も適切なトレーニングとサポートが提供されるかどうかを確認しましょう。従業員がRPAを効果的に活用するための教育プログラムや定期的な技術サポートが提供される場合、それだけスムーズにRPAが定着します。
トライアルを行う
トライアル期間は、実際の業務にRPAを導入する前に、そのツールの機能や使いやすさ、適合性を評価するための貴重な機会です。自社の業務にRPAがどの程度役立つかを確認しましょう。また、具体的な業務の自動化の手順や設定の難易度、処理速度などを評価し、自社に適しているかどうかを判断します。
本格導入する
RPAの本格導入には、慎重な計画と段階的なアプローチが不可欠です。まず、選定したRPAツールを導入するためのプロジェクトチームを組織し、役割と責任を明確にします。次に、導入計画を策定し、目標やスケジュール、予算、リスク管理策を明確にしましょう。
導入初期は、簡単な業務から始めて段階的に拡大することも検討してください。さらに、トレーニングやサポート体制の整備を行い、従業員がRPAを適切に活用できるようにします。最後に、導入後の効果を定期的に評価し、必要に応じて調整や改善を行います。
RPAの選び方のポイント
RPAは、ツールによって使いやすさや業務との相性などが異なります。次のポイントを押さえて、自社に適したツールを選定しましょう。
使いやすいかどうか
RPAを選ぶ際の重要なポイントの1つは、使いやすさです。使いやすいRPAツールは、従業員が速やかに使い方を理解できるため、それだけ速く効果が現れます。また、新たに別の作業を自動化することになっても、速やかに対応できるでしょう。
使いやすいRPAを選ぶうえで注目したいのは、インターフェースが直感的でわかりやすいかどうかです。直感的な操作ができるインターフェースであれば、RPAの操作に慣れていない従業員が臨時で対応することになっても、トラブルが起きる心配がほとんどありません。
費用対効果に優れているかどうか
適切なRPAツールを選ぶことで、業務効率化による人件費の削減、ヒューマンエラーの現象による利益向上などが期待できます。
まず、RPAツールのライセンス料や導入コンサルティング費用などを確認しましょう。また、ライセンスの更新費用やサポート料金、トレーニング費用などの運用コストも確認が必要です。
長期間にわたり使用するほどに、効果が費用を大きく上回ることが理想です。業務の効率化や生産性向上、人的ミスの削減などによって、具体的にどれだけの利益につながるのかを計算しましょう。
カスタマイズは可能か
企業の業務プロセスやニーズに合わせてRPAをカスタマイズできるか確認しましょう。
業務環境や規模、システムの構成などが異なる企業では、同じRPAツールでもカスタマイズが必要となることがあります。例えば、ERPシステムとの連携やAPIの活用、セキュリティポリシーの適合など、環境に合わせたカスタマイズが必要です。
適切にカスタマイズができないと、RPAの効果が限定されたり、業務を半自動化しかできなかったりする可能性があります。
自動化対象業務と相性が良いか
RPAで自動化する予定の業務とRPAツールの相性も確認が必要です。たとえば、シナリオを簡単に作成できるものは、もともと短時間でこなせる業務を自動化したい場合に向いているでしょう。
相性については自分で判断することが難しいため、導入支援会社のアドバイスを受けることが大切です。
サポート体制は充実しているか
RPAツールは定期的なメンテナンスが必要です。例えば、新たに自動化したい業務を設定する際や、不具合が発生した際に、ベンダーが迅速かつ的確に対応してくれることが重要です。
電話やメールでのサポート提供や、オンラインフォーラムやチャットサポートなど、迅速な対応を行う体制が整っているかを確認しましょう。
また、RPAツールには専門的な知識や技術が必要です。ベンダーが専門的なサポートを提供しているかどうかを確認し、問題解決に対する信頼性を評価しましょう。中には、導入後のサポートが不十分で、不信感をいただいたとの口コミもあるため、依頼先は慎重に検討することが大切です。
トライアル期間はあるか
RPAツールを選ぶ際には、無料トライアル期間があるかどうかを確認することが重要です。
ユーザーが実際にツールの機能や操作性を試す機会となるため、導入後に後悔するリスクを軽減できます。一般的には2週間から1カ月程度の無料トライアル期間が用意されており、一部の機能、あるいは全ての機能を無料で試せます。
トライアル期間中は、ツールの各機能が自社の業務に適しているかどうかを評価しましょう。また、ツールの使いやすさも確認が必要です。現場の従業員がスムーズに利用できているか、設定やシナリオ作成などが直感的な操作で行えるかどうかなどに注目してください。
社員が扱えるかどうか
RPAを選ぶ際には、実際に社員が扱えるかどうかを確認することが大切です。RPAツールを導入する目的は、業務の効率化や自動化を実現することですが、その過程で社員がツールを適切に扱えなければ、かえって業務効率が低下します。
RPAツールの導入前に、トレーニングプログラムを実施しましょう。ツールの基本的な操作方法や業務への適用方法などを伝えて、それでも利用が難しそうなRPAツールは選ぶべきではありません。
また、社員からのフィードバックを収集することも重要です。ツールの使い勝手や問題点、改善すべき点などを社員から直接聞くことで、導入後の課題を把握できます。
既存システムとの連携が可能かどうか
RPAはさまざまなツールと連携することができ、その効果は業務の効率化や生産性向上につながります。例えば、ERPシステムと連携して、ExcelデータをERPに自動転記したり、ERPに登録されている未処理のデータを検知して担当者に通知したりできます。
また、SFAやCRMと連携して、ファイルのアップロードや指定した条件を満たすレコードの検索などを自動化できます。これにより、営業活動の効率化や顧客情報の管理が向上します。
連携できるシステムはRPAツールによって異なるため、導入前に必ず確認しましょう。
自社に合ったRPAを選ぶことが大切
自社に合ったRPAを選んでこそ、その恩恵を受けることができます。企業の業務効率化や生産性向上に大きく寄与するため、適切なツールを選択することが重要です。まず、自動化したい業務を選定し、それに適したRPAツールを検討します。その際には、自社の予算や業務内容、社員のリテラシーなどを考慮して選定しましょう。
また、RPAツールの使いやすさや費用対効果、カスタマイズ性、既存システムとの連携性なども検討のポイントとなります。さらに、導入後のサポート体制やトライアル期間の有無も重要な要素です。
RPAの導入支援会社は、RPAの知識を豊富に持っていることはもちろん、自社に合わせてカスタマイズできるかどうかも確認しましょう。
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・RPAツールを導入したいが、高いし、社内にエンジニアがいなくて困ってる
・採用が難航しており、ルーティン業務を人が行っている
・どのRPAツールを入れればいいかわからない
・とりあえず、自動化をしたい
・オンプレの社内システムを使っている